この記事を読むと、プロとアマチュアの違いがわかります。
野球好きでも、
「ひたむきで全力プレーの高校野球は好きだけどプロ野球はたらたらやっていて嫌い。」
「なんでプロ野球選手って全力で走らないの?」
など高校野球のきびきびしたスピード感が好きなファンもちらほら見かけます。
確かに、プロ野球選手は全力で走りません。
体型が大柄な選手もいて、アスリート体型じゃなくてもできるスポーツと思われることがあります。
しかし、プロとアマチュアでは明確な違いがあることを認識していないファンが多いと感じます。
その違いを認識もせず、プロ野球を批判するのはナンセンスです。
そこでプロ野球選手を10年以上観てきて、アマチュア野球を14年ほど続けた筆者がその違いについて明らかにしようと思います。
プロ野球はフルマラソンの選手、アマチュア野球は短距離走の選手
まずおおきな違いは、
- 試合数
- 勤続年数
この2つに大きな違いがあります。
高校野球の公式戦は、地方で差はありますが、
- 春の大会
- 全国高校野球選手権大会(甲子園予選)
- 夏の甲子園
- 秋の地方予選(選抜甲子園に向けた大会)
- 春の甲子園
大きく分けて、春、夏、秋と負けたら終わりのトーナメント戦です。
全て一回戦で負けたら、最短で3試合で1シーズンが終わってしまいます。
つまり、目の前の試合に勝たなければ先はないのです。
その状況なら、ボテボテのゴロを打っても全力で走りますし、投手も肩が痛くても無理をするでしょう。
(社会人野球も基本トーナメントなため、同じくです。)
大学野球はリーグ戦ですが、シーズンは春と秋の2回しかありません。
つまり、怪我などのリスクを恐れても、目の前の1勝をもぎ取らなければなりません。
また、高校野球は3年、大学野球は4年、社会人野球は人により違いますが、どれも引退の時期があります。
さらに彼らは職業として野球をしているわけではありません。
選手生命にかかわる故障をしても、別の道で生きていくことができます。
対してプロ野球は、
- 年間143試合(リーグ戦)
- CSや日本シリーズなど10試合ほど(短期決戦)
- WBCやオリンピックなど国際試合
と試合数にアマチュア野球と比べ物にならない差があります。
正直この試合数がある中で、毎日全力でプレーするのは無理です。
マラソン選手に、「短距離ランナーと同じスピードで走れよ。」
と言っているようなものです。
控えや若手、1.5軍の選手は、レギュラーではないため、明日のことなど考えずに全力でプレーする必要があると思います。
しかし、柳田選手や吉田正尚選手など主力の選手は目の前の1勝はもちろん大切ですが、
143試合をいかに戦い抜くか、5年後、10年後も見据えてプレーしなければいけない選手です。
マラソン選手のようにペース配分も考えることが必要でしょう。
そのような選手が、毎試合平凡なゴロを全力疾走して、肉離れして離脱する方がチームにとって損失なのです。
この2つを言い換えるならば
プロ野球はフルマラソンの選手、アマチュア野球は短距離走の選手だということです。
この違いを認識せずに批判するのはナンセンスだと考えます。
プロはその道を究めた人
プロ野球には様々なタイプの選手がいます。
走攻守すべてが揃った選手、足は遅いがホームランアーチスト、守備を極めた守備要因、足のスペシャリスト等々、それぞれの武器を生かしてプレーしています。
確かに、柳田選手や鈴木誠也選手、坂本勇人選手、山田哲人選手など打撃も、守備も、走塁もすべてがプロのトップクラスのレベルであれば理想でしょう。
しかし相手もプロですので、そうはいきません。
そのため、自分にしかない武器を磨いてその道のスペシャリストとなる選手もいます。
赤星選手など足で勝負する選手は、平凡な内野ゴロでも全力で走ります。
その理由は、彼は足でこの世界で勝負をしているからです。
対して、ラミレス選手や松中信彦選手、山川選手などは打撃でレギュラーを勝ち取った選手です。
彼らは、走力や守備で勝負する選手ではありません。
彼らはいわば打撃職人なのです。
打撃で勝負をしている選手は、
打ち損じ=敗北
を意味します。
つまり、ボテボテのゴロを打った時点で敗北なのです。
そこで一生懸命走って、セーフになってもそれは相手にも自分のプライドにも失礼に値します。
イメージとしては、武士の切腹に近い感じです(笑)
プロはその道を究めた職人として勝負をしているので、全力で走らない選手もいるのです。
まとめ
プロ野球選手が全力疾走しない理由とは
- 試合数の圧倒的な違い
- 勤続年数の違い
- 仕事としての野球
- 職人として勝負している選手もいる
といった違いがあります。
プロとアマチュア野球では、陸上の短距離走の選手と、長距離走の選手と同じくらい違うのです。
同じ野球というスポーツでも、種目が違うイメージです。
このような違いが分かったうえで野球をみると、新しい楽しみ方が増えるのではないでしょうか?
それでは!!
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